2016年7月28日木曜日

POLYANSKY cond. GLAZUNOV Symphonies

ロシアの作曲家アレクサンドル・グラズノフ(Aleksandr Glazunov, 1865-1936)は8つも交響曲(第9番は未完)を残しているのだが、やっぱりロシアのオケぐらいでしか演奏されない?日本ではあまり耳にする機会もない。

いつものようにBOでCDを物色していてこれが目に付いた。廉価盤セット企画のBRILLIANT CLASSICSから出ているポリャンスキーによる主にCHANDOSからのグラズノフ7枚組みセット。なんと500円w 
8つの交響曲とヴァイオリン協奏曲、そしてバレエ組曲、カンタータ、コンサート用楽曲をどばっと盛り付けた丼物のようなセットがこの値段で手に入るのはお得。

Vareri POLYANSKY cond. Russian State Symphony Orchestra 1997-2002 Moscow
ポリャンスキーという指揮者のCDを初めて手に入れた。

7枚組みセットだとすべて聴くのに相当な期間がかかる。手に入れてから2年ぐらいたってようやく全部聴き終わったw 1番から順番に聴くのでなく、きまぐれで聴き始めた。

まずCD6の交響曲第7番 op.77とライモンダ組曲 op.57aから。
このセットはなんと第7番が尾高忠明指揮BBC National Orchestra of WalesによるBIS録音。
ライモンダがヨンダニ・バット指揮ロンドンSO.による演奏。
尾高はグラズノフ全集を完成させているのに、このポリャンスキー盤は尾高盤から第7番だけを借りてきた。つまり、このDisc6だけが別の演奏家による演奏。うーん、ここが全集としてはなんとも中途半端な形態。ポリャンスキー、なぜ7番だけ録音しなかった?

交響曲第7番 ヘ長調 op.77
あまりロシアを感じさせない爽やかな曲。聴き終わって調べてみたらグラズノフの「田園」と呼ばれている曲だった。高原の澄んだ空気の朝のような、ジブリアニメに合いそうな曲で好き。

バレエ組曲「ライモンダ」op.57a
グラズノフの曲としては有名な部類だが、自分としてはかなり退屈。バットは中国系指揮者だが、解説書にはまったく演奏者たちのことが書かれていないので不明。

次にDisc1
交響曲第1番 ホ長調 op.5
天才少年だった15才のグラズノフによる最初の交響曲。「スラブ」という副題が付いているように、かなりロシア的。ちょっとボロディンとかを思い出す。実はこの曲が一番印象に残った。

ヴァイオリン協奏曲 イ短調 op.8 
自分がグラズノフで一番聴いてたとても有名な曲。
ここでヴァイオリンを弾いているJulia Krascoというソリストのことが調べても良くわからない。1992年のパガニーニ国際で1位だった人らしい。スッキリした堅実な美しい演奏。

次にDisc4
交響曲第4番 変イ長調 op.48
スラブ的な哀愁を帯びた出だし。軽快な2楽章、華やかな3楽章。聴き終わった後の満足度は高い。

交響曲第5番 変ホ長調 op.55
たぶんグラズノフの交響曲の中で一番有名。自分も唯一これだけは聴いたことがあった。
第1楽章から重厚。ロシア的素材を活き活きと聴かせる。
だが、わかりやすくわちゃわちゃと盛り上がる勇壮な行進曲風。ポリャンスキーとロシア国立SO.の演奏と録音も素晴らしくて満足。

次にDisc2
交響曲第2番 嬰へ短調 op.16
この曲はかなりかっこいい。トランペットが壮麗に主題を奏で始まる。あまりロシアらしくない。重厚でがっしり。20歳そこそこの若者が作ったことを考えると、若きグラズノフはやはり天才。演奏もなかなか立派。

戴冠式カンタータ  Coronation Cantata,op.56
それほど詳しいことが書かれていない解説書を読むと、1896年5月のニコライ2世戴冠のために書かれた曲らしい。ロシアの新しい支配者を讃え神の栄光を歌う。そんな曲なのでソ連時代には演奏されなかったかもしれない。総ロシア人キャストによる歌唱と演奏。他にあまり録音はないかもしれない。

次にDisc5
交響曲第6番 ハ短調 op.58
第2楽章が主題と変奏、第三楽章が間奏曲という形態。だが曲自体には新鮮さや驚きのようなものは感じない。
グラズノフは天才少年からスタートして楽壇のトップまで上り詰めた人でありながら、温厚な優しい性格でかなりの人格者だったらしい。そんな人が作る音楽はこんな感じになるだろうと思う。
グラズノフを代表する名曲といっていい。じっくりと耳を傾けるに値する。

性格的組曲 Characteristic Suite in D major op.9
7曲からなるロシア国民楽派的な組曲。

次にDisc3
交響曲第3番 ニ長調 op.33
これまで聴いてきた中でちょっと印象が薄いがこの曲も十分にかっこいい。

コンサートワルツ 第1番ニ長調 op.47 / 第2番ヘ長調 op.51
その名のとおりコンサート用ワルツ。親しみやすい。

最後にDisc7
交響曲第8番 変ホ長調 op.83
暗くて渋い2楽章は好き。終楽章は明るい祝祭的雰囲気で終わる曲。

プーシキン生誕100周年記念カンタータ Commemorative Cantata, op.65
全集でもなければ聴く機会も一生なかったであろう1曲。ロシア語歌唱によるメゾソプラノとテノール独唱をふくむ。とにかく普通の日本人にはほとんど馴染めない内容を持った曲。

POEME LYRIQUE, in D flat major op.12
この曲の約名がわからないが、叙情的詩曲とでも呼べばいいか?

やっと聴き終わった。それぞれ4回聴いた。この数週間ずっとグラズノフ漬けだった。

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